IT担当者の悩みの種 PC管理を大改革するにはキッティングから故障対応までPC管理の課題をまるごと解決した事例

PC管理に忙殺されるIT担当者の“現実”

会社のPC管理は多くの場合、IT担当者が担う。その苦労はPCが会社に届いた段階から始まる。いわゆるキッティングという作業だ。業務で必要なアプリケーションやネットワーク設定、アンチウイルスなどのセキュリティー対策などを組み込み、すぐに使える状態にするわけだが、必要なアプリケーションは担当業務や権限によって異なる。プロファイルはいくつものパターンを用意しなければならない。

PCの更改時期ともなれば、1日に何台、何十台ものキッティング作業に追われる。台数が増えれば、漏れやミスのリスクも高まる。決して簡単な作業ではない。

キッティング以外にも、日ごろの運用でトラブルが発生すれば、その対応が急がれる。アプリの使い方や設定に関することなら情報システム担当で対応できるが、ハードウエアが故障したらそうはいかない。故障はいつ何時発生するか分からない。気が休まる時がないというのが本音だろう。

IT担当者の本来業務は、ビジネスに最適なIT環境を提供することである。より良いシステムを開発し、使いやすさやパフォーマンスの維持・向上を図る。さらに近年はデジタルトランスフォーメーション(DX)の流れが加速し、既存ITの最適化だけでなく、新たなテクノロジーを活用した価値創出も求められている。要求が多様化・高度化しているのだ。

本来業務を圧迫するPC管理を何とかしたい――。こう考えるIT担当者は少なくないはずだ。

そんな中、この課題に終止符を打った企業がある。ITベンダーのコアコンセプト・テクノロジーだ。PC管理に忙殺される日々は過去のものになったという。次頁以降で、同社が選んだ方策とその成果を紹介したい。

PC管理の管理を大幅に効率化した方策とその成果とは

株式会社コアコンセプト・テクノロジー
社長室
情報システム担当
壽 眞澄氏

企業理念に「『IT産業の次世代』を創出する」を掲げるコアコンセプト・テクノロジー。同社の事業ドメインは大きく2つある。「DX支援サービス」と「IT人材調達支援サービス」である。

DX支援サービスはシステム開発のほか、顧客に伴走して経営・現場課題の解決やDX組織の構築を支援し、自走化による「真なるデジタル化(DX)」の実現に貢献する。

IT人材調達支援サービスは独自開発した人材調達プラットフォーム「Ohgi」を軸に、発注側・受注側の最適な人材マッチングを支援する。最適な人材の検索をわずか10分程度で行えるという。10万人以上(2022年12月時点)のITエンジニアへのアプローチが可能で、多くの事業会社や大手SIerに利用されている。

発注企業にITエンジニアを紹介する際、同社はPCなどの必要機材も併せて提供する。自社の従業員が使うPCも調達するため、管理対象のPCの数は膨大だ。調達は従業員の個別要望に応えてきたため、様々なメーカーの多様な機種が混在している状況だった。

「キッティングは自社で作成したプロファイル情報をUSBメモリで一台一台インストールしていましたが、会社の成長とともにPCも増台を続け、手作業のキッティングにはもはや限界を感じていました」と同社の壽 眞澄氏は振り返る。

そこで検討したのが、必要な設定がPCに自動反映される「ゼロタッチキッティング」の実現だ。この仕組みはMicrosoft Intune(以下、Intune)とWindows Autopilot(以下、Autopilot)を使えば実現できるが、IntuneはPCの使用期間やサポート期間などの情報を自動で登録できない。これらの情報はPCのライフサイクル管理や故障対応のために欠かせないものだ。

「課題解決策を模索する中で、デル・テクノロジーズがあるサービスを提供していることを知りました。それは、Autopilotに対応したゼロタッチキッティングの実現に加え、PCの見守りと故障対応までサポートしてくれるというもの。なかでもPCの見守りは他社にはないサービスで非常に価値が高いと感じました」と壽氏は評価する。

ハードウエアの“健康状態”を監視し迅速なサポートも

株式会社コアコンセプト・テクノロジー
社長室
情報システム担当
松本 明治氏

Autopilotを利用する場合、通常はPC納品後にシリアル番号などをユーザー企業側でIntuneへ登録しなければならない。しかし、デル・テクノロジーズならこの手間は不要になる。工場であらかじめIntuneへ情報を登録してから出荷できるからだ。

「初回起動時にMicrosoft 365のログイン画面が表示されるので、ユーザーはメールアドレスと初期パスワードを入力し、パスワードを変更するだけ。その後は必要なソフトウエアのダウンロードや設定が自動で行われ、すぐに使い始められます」と同社の松本 明治氏は説明する。

PCの見守りと故障対応は「TechDirect」で実現する。これはデル・テクノロジーズ製PCの状態を可視化し、PCライフサイクル管理を効率化するセルフサービスポータル(図1)。ハードウエアを監視してプロアクティブな障害対応を可能にする「SupportAssist for Business PCs」(以下、SupportAssist)を組み合わせることで、CPUやSSDといったハードウエアの“健康状態”をモニタリングできる。

メモリやSSDといったPCのハードウエア関連の異常の有無を遠隔で即座に把握できる。
異常があった場合のサポート依頼、交換パーツの注文などもポータルからシームレスに行える

「TechDirectの定期的なレポートで、ソフトウエアとハードウエア両方の状態を知ることが可能です。ソフトウエアなら、強制終了や異常停止しているアプリケーションの有無を把握できます。ハードウエアの場合、故障に至るまでには大抵、前兆があります。それに早く気付けるメリットは大きい。ユーザーに伝えて交換やバックアップを促すことで、データ消失や業務の停滞を防げます」と壽氏は語る。

交換が必要になった場合の対応も迅速だ。「TechDirectを通じてデル・テクノロジーズの担当者と簡易にコミュニケーションできる上、ポータル画面で当該のPCを選択すれば、すぐにサポートケースが発行されテクニカルサポートをリクエストできます。PC本体のシリアル番号を転記する必要もないので、ユーザーに手間をかけず転記ミスの心配もありません」と壽氏は続ける。

PC調達をデル・テクノロジーズに一本化し、ITの価値向上を加速する

こうして同社は2022年5月にデル・テクノロジーズ製PCの導入検討を開始した。PCスペックはシステム開発業務に耐えられるよう高性能なIntel® Core™ プロセッサーを搭載していること、さらに在宅勤務に対応する持ち運びやすさも重視した。「これを軸にCPUはIntel® Core™ i7、メモリは16GB以上、テンキーレスで1.2キロ前後のモバイル仕様、画面は13.3インチ前後で解像度はフルHD以上を標準スペックに定めました。セキュリティーと利便性の両立を図るため、Windows Hello対応の生体認証も要件としました」と松本氏は語る。

この要件を満たすPCとして、同社は「Dell Latitude 7330」および重量967gでありながら高い耐久性を誇る「Dell Latitude 7330 Ultralight」を合計340台購入した。Dell Latitude 7330シリーズは高いセキュリティー機能、管理機能、安定性、高速レスポンスが特徴のIntel® Evo™ vPro® プラットフォームを実装した製品だ。2023年1月以降、同社には必要な台数分が順次納品されている。

デル・テクノロジーズが提供するゼロキッティングの効果について、壽氏は次のように語る。「以前は複数台を並行作業でキッティングしても待ち時間が多く、10台キッティングする日は半日の4時間程度はかかっていましたが、今は各PCに行っていた設定やアプリケーション配布の手間が不要。社内ITの価値向上など有意義な業務により多くの時間を充てられます」。

今回導入したDell Latitude 7330シリーズにまだトラブルは発生していないが、TechDirectの活用により、トラブル時の対応も大幅に軽減できる見込みだ。以前、SSDが故障した時は復旧業者と頻繁に連絡を取り、1週間近くにわたって毎日数時間の対応を余儀なくされた。しかも結局は復旧できずデータは消失してしまったという。「事前に異常を検知してSSDを交換すれば、こうした事態は防げます。予防的な交換なら、その手間もわずかなもので済むはずです」と壽氏は話す。

同社はPC導入と併せて、USB Type-C 対応のQHD解像度27インチモニター「Dell S2722DC」も導入した(図2)。PCとケーブル1本の接続で利用でき、同時にPCへの給電もできる。「利便性が非常に高いので、社内の機器は今後USB Type-C対応製品で統一しようと考えています」と松本氏は語る。

Dell Latitude 7330シリーズにDell S2722DCを接続すれば、大画面で作業できる。
見やすく、情報共有がスムーズに行えると好評だ。プロジェクトの開発メンバーがよく利用しているという

PCが使えなければ、業務が止まる。業務を止めないためには、PC管理を効率化できるメーカーの存在は大きい。コアコンセプト・テクノロジーは既存PCのリプレースのタイミングで置き換えを進め、今後はIT人材調達支援を含む社内PCの調達をデル・テクノロジーズに一本化していく考えだ。

日経BP社の許可により、2024年2月22日~の日経 xTECH Specialを再構成したものです。
https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NXT/24/delltechnologies0222//

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