Transparent Snapshot Data Mover (TSDM)は、仮想マシンの保護操作中にデータを移動するために、PowerProtect Data Manager 19.9で導入された保護メカニズムです。従来、仮想マシンを保護するためにPowerProtect Data Managerで使用可能な唯一の保護メカニズムは、VMware vStorage API for Data Protection (VADP)でした。
TSDMを使用するには、まずPowerProtect Data Manager 19.9のソフトウェア インストールおよびアップデート パッケージに含まれているvSphere Installation Bundle (VIB)をインストールします。これにより、TSDMが使用できるようになります。VIBのインストールは、仮想マシン保護ポリシーの作成時にクラスター レベルで自動的に実行されます。ESXiサーバーを再起動したり、PowerProtect Data Managerをメンテナンス モードにしたりする必要はありません。
新しい仮想マシンの保護ポリシーでは、次の条件が満たされている場合、デフォルトの保護メカニズムとしてVADPではなくTSDMが使用されます。
- 仮想マシンをホストするvCenter/ESXi Serverが最小バージョンの7.0 U3である。
- VIBがホスト レベルで有効化されている。
- VIBが保護するホスト仮想マシン資産にインストールされている。
- 仮想マシンの保護ポリシーが、パフォーマンス最適化モードを使用するクラッシュ コンシステントなポリシーで、スワップ ファイルを除外し、無効化された静止を有効化するオプションがある。
[Transparent Snapshot Data Movers]ウィンドウには、PowerProtect Data Managerに追加されたvCenter Server資産ソースの階層ビューが表示されます。このビューを使用して、保護対象の仮想マシンのvCenter/ESXiホストでVIBが有効になっているか、ホスト仮想マシン資産にVIBがインストールされているか、またはそれらがVIBインストールの対象になっているかを確認します。
ESXホスト マシンでVIBをインストールまたはアップデートする方法:
- ホストの右側にあるアイコンにカーソルを合わせます。ホストが無効になっている場合は、[Enable]をクリックします。
- ステータスが[Ready for install]または[Ready for update]と表示されていることを確認します。
- このホストの横にあるチェック ボックスを選択し、[Install]をクリックします。1つ以上の選択ができない場合、またはVIBがすでにインストールされている場合は、ダイアログが表示されます。[OK]をクリックしてインストールを続行します。
VIBのインストールが開始されると、[Protection Engines]ウィンドウが更新され、進行状況が表示されます。また、[Jobs]ウィンドウに[Performing Host Configuration (vib_install)]ジョブのエントリーが表示されます。
注:新しいホストがクラスターに追加されると、VIBが自動的にインストールされます。
メモ:PowerProtect Data Manager 19.8以前に追加されたすべての仮想マシン資産は、VADP保護メカニズムを使用します。これらの仮想マシンにVIBをインストールした後、これらの資産をTSDMを使用するように移行する必要があります。TSDMに移行する手順については、『Dell EMC PowerProtect Data Manager 19.9管理およびユーザー ガイド』を参照してください。
仮想マシンでTSDM保護を使用する保護ポリシーを作成する方法:
ポリシーの作成では、以下の例が使用されます。
- ポリシー名:tsdm-policy
- 仮想マシン名:2EmptyDisksおよびWindows1
- PPDMコンソールで、[Protection]メニューに移動します。
- [Protection Policies]>[Add Policy]に移動します。
- [Purpose]>[Crash Consistent]を選択し、[Next]をクリックします。
- [Assets]を選択し、ポリシーに含めるVMの横にあるボックスをクリックして、[Next]をクリックします。
- [Objectives]を選択し、ポリシーの[Target]と[Schedules]を追加して、[Save]をクリックします。
- [Options]を選択します。TSDMでは[Performance]のデフォルト設定のみが許可されます。それ以外の場合、ポリシーがVADPを使用してフル バックアップを完了したら、[Next]をクリックします。
- ポリシーの[Summary]を選択し、[Finish]をクリックします。
ポリシー作成のステータスは、[Jobs]>[System Jobs]に表示されます。vCenterから、ポリシー内の仮想マシンにLight Weight Delta (LWD)が適用され、VMのスナップショットを作成できるようになります。
これで、必要なソフトウェアとポリシーがインストールおよび作成されました。最後のステップではポリシーを実行します。
- [Protection]>[Protection Policies]で、新しいポリシーを選択します。この例では、tsdm-policyと呼ばれます。
- [Assets]>その保護ポリシーで定義されているすべての資産を選択します。
- [Configuration]>バックアップの種類>[Full]を選択します。
注:ポリシーを初めて実行する場合はフル コピーで、その後のポリシー実行では合成フルが使用されます。
- [Summary](上記の詳細を選択)>[Protect Now]をクリックします。
- [Jobs]>[Protection Jobs]に、ジョブの進行状況ステータスが表示され、ジョブIDが割り当てられます。完了すると、ジョブIDの下に詳細が表示されます。
- 仮想マシンのスナップショットの詳細は、[Infrastructure]>[Assets]に表示されます。
上記の3つのステップを確認すると、作成されたジョブは[
Jobs]>[
System Jobs]に同様に表示されています。