MSCONFIGは、Microsoft Windowsのスタートアップ プロセスをトラブルシューティングする目的で設計されたオペレーティング システム ユーティリティーです。起動時に実行されるソフトウェア、デバイス ドライバー、またはWindowsサービスを無効化または再度有効化したり、ブート パラメーターを変更したりできます。
MSCONFIGは使いやすく、Windows10および11の起動に関する多くの問題のトラブルシューティングに役立ちます。コンピューターの起動方法(スタートアップ ファイル)、サービス、およびスタートアップ ファイルを、一時的または永続的に変更できます。このように、MSCONFIGは非常に便利なトラブルシューティング ユーティリティーとなっています。MSCONFIGを使用すると、起動時間を短縮し、コンピューターの起動時に何をどこで、いつロードするかを合理化することができます。
Windows 10および11では、Windows+Rキーを同時に押すと、[ファイル名を指定して実行]ボックスが表示されます。
または、Windowsキーを押すか、[スタート]ボタンをクリックすると、スタート メニューが開きます。「MSCONFIG
」 と入力すると、アプリケーションがリストに表示されます。
(図1:MSCONFIGの検索)
ボックスに「MSCONFIG」と入力し、キーボードのENTERキーを押します。
(図2:[ファイル名を指定して実行]ボックスに「MSCONFIG」と入力)
これにより、Microsoftのシステム構成ユーティリティーが起動します。
[MSCONFIG]ウィンドウには、次の5つのタブがあります。
(図3:[MSCONFIG]タブ)
全般
(図4:MSCONFIG[全般]タブ)
Boot
サービス
スタートアップ
ツール
起動の問題:これらは、コンピューターが正常にロードされない、起動に時間がかかる、または起動時に画面にエラーが表示されるなどの問題です。これらの3つの状況が組み合わさっている場合もあります。まず、問題を解決するために、問題を特定し、原因を絞り込み、その後で変更を加えます。
(図5:MSCONFIG[全般]タブ)
MSCONFIGの[全般]タブでは、デバイスを起動するためのいくつかの基本的なオプションが提供されます。ユーティリティーのデフォルトの選択肢は、[通常スタートアップ]です。コンピューターを起動するための他の2個のオプションは、[診断スタートアップ]と[スタートアップのオプションを選択]です。
基本的なサービスおよびドライバーのみでWindowsを起動します。このモードでは、基本的なWindowファイルが問題なのかが判断できます。このタイプのスタートアップによって、トラブルシューティングに必要な最低限の環境が実現します。
これにより、開くプログラムとサービスを選択できます。また、スタートアップ時に開かずにおくプログラムやサービスを選択することもできます。
スタートアップ プログラムのいずれかが起動時に問題を引き起こしていると分かった場合は、[スタートアップの項目を読み込む]をオフにできます。これにより、スタートアップ プログラムが起動しなくなります。これは、問題の原因となっているプログラムを判別するには十分ではありませんが、特定の領域に問題を絞り込むのに役立ちます。
構成に関する問題:これらは、新しいコマンドが設定されたり、古いコマンドが変更されたりして、システムに悪影響が及んでいる場合の問題です。これは通常、間違っている、または変更されたコマンド/設定を見つけて、動作するように変更するか、または元の状態に戻すことによって解決できます。
このタブでは、コンピューターを起動するためのさまざまなオプションが提供されています。このウィンドウの上部には、コンピューターが使用しているスタートアップ ファイルが表示されます。コンピューターに複数のブート パーティションがある場合は、それぞれがここに表示されます。ブート メニューのタイムアウト値は変更できます。ブート マネージャーが使用しているコマンドに問題がないかを明確に確認できます。
(図6:MSCONFIGの[ブート]タブ)
このウィンドウに表示される3つのボタンのうち2つは編集用であり、デフォルトでは使用不可になっています。ページ下方の横には、次の2個のオプションがあります。
システム構成で行われた変更は追跡されません。後で変更を行う場合は、手動で行う必要があります。この機能は注意して使用してください。
MSConfigを使用すると、オペレーティング システムの選択画面が30秒間表示されることがあります。その結果、起動時間全体に30秒が追加されます。起動時に動作選択画面が30秒間表示されないようにするには、[タイムアウト]フィールドのタイムアウト行をゼロに変更します。
[ブート]タブの下で選択可能になっている唯一のボタンは、[詳細オプション]です。[詳細オプション]ボタンをクリックすると、[ブート詳細オプション]ダイアログ ボックスが表示されます。通常、これらのオプションは使用しませんが、便利な場合があります。例えば、起動の問題が複数のプロセッサーを搭載していることが原因で発生していると疑われる場合などです。[プロセッサーの数]チェック ボックスを選択して数を指定すると、コンピューターの起動に使用するプロセッサーの数を制限できます。
(図7:MSCONFIGの[ブート]の[詳細オプション])
[ブート]タブで最も価値のある機能は、ブート オプションです。これらの選択肢を使用して、さまざまなトラブルシューティングを行うことができます。
起動時に、重要なサービスのみを実行して、セーフ モードでWindowsグラフィカル ユーザー インターフェイス(GUI)のWindowsエクスプローラーを開きます。ネットワーキングは無効にされています
起動時に、重要なサービスのみを実行して、セーフ モードでWindowsのコマンド プロンプトを開きます。ネットワーキングとGUIは無効になります。
起動時に、重要なサービスとActive Directoryを実行して、セーフ モードでWindows GUIを開きます。
起動時に、重要なサービスのみを実行して、セーフ モードでWindows GUIを開きます。ネットワークは有効化されています。
起動時にWindowsの[ようこそ]画面は表示されません。
スタートアップ処理のすべての情報を%SystemRoot%Ntbtlog.txtファイルに保存します。
起動時に、最小のビジュアル グラフィックス アダプター(VGA)モードでWindows GUIを開きます。これにより、コンピュータ上のビデオハードウェア固有のディスプレイドライバではなく標準VGAドライバがロードされます
スタートアップ処理中にドライバーがロードされるときにドライバー名を表示します。
マルチプロセッサー システムで使用されるプロセッサーの数を制限します。チェック ボックスをオンにすると、コンピューターはドロップダウン リストのプロセッサー数のみを使用して起動します。
オペレーティング システムが使用する物理メモリーの最大容量を指定して、低メモリー構成をシミュレートします。テキスト ボックスの値はメガバイト(MB)です。
WindowsがI/Oおよび割り込み要求(IRQ)リソースをPCIバスに再割り当てするのを防ぎます。BIOSによって設定されたI/Oおよびメモリー リソースが維持されます。
デバイス ドライバー開発用のカーネル モードのデバッグを有効にします。
これらは、このコンピューターのデバッガー接続設定です。カーネル デバッガーをデバッガー ホストと通信させるための設定です。ホスト コンピューターとターゲット コンピューター間のデバッガー接続には、シリアル、IEEE 1394、またはUSB 2.0を使用できます。
接続タイプとしてシリアルを使用し、シリアル ポートとデフォルト ポートをCOM1に指定します。
[デバッグ ポート]が選択され、デバッグ接続タイプが[シリアル]の場合に使用するボー レートを指定します。この設定はオプションです。ボーの有効な値は、9600、19,200、38,400、57,600、および115,200です。デフォルトのボー レートは115,200 bpsです。
デバッグ接続タイプとしてチャネル[1394]を使用し、使用するチャネル番号を指定します。チャネルの値は、0から62までの10進数でなければならず、ホスト コンピューターが使用するチャネル番号と一致する必要があります。指定されたチャネルは、アダプターで選択された物理1394ポートに依存しません。チャネルのデフォルト値は0です。
デバッグの種類がUSBの場合に使用する文字列値を指定します。この文字列には任意の値を指定できます。
競合の問題:これらは、ドライバー、サービス、アップデートなどがロードされ、別のファイルを変更したり、既存のファイルやデバイスとして同一のリソースを使用しようとしたりする問題です。これらの問題をトラブルシューティングするには、競合を特定するまで別のファイルやサービスを一時的に無効にして、同じ作業またはアップデートを行う別のファイルをロードするか、または両方のファイルを再インストールします。
MSCONFIGの[サービス]タブには、Windows 10および11が起動したときに開始される、統合されたWindowsサービスとプログラムが一覧表示されます。Windowsオペレーティング システム自体がそれらを定期的に実行します。コンピューターの操作にとって重要なサービスが多数あるため、サービスを無効にする際には注意が必要です。プログラム名の横にあるチェックボックスをオンまたはオフにすることで、プログラムまたはサービスを有効または無効にできます。これは、サービス関連の問題をトラブルシューティングする際に役立ちます。
(図8:MSCONFIGの[サービス]タブ)
Microsoftでは、Windows 10および11のほとんどのサービスを独自に設計しています。サード パーティー製サービスを簡単に検索できるようにするには、[Microsoftのサービスをすべて隠す]ボタンをクリックします。
(図9:MSCONFIGの[スタートアップ]タブ)
このタブを使用すると、ログイン時にスタートアップ フォルダー内の項目を起動しないようにすることができます。Windows 10および11のタスク マネージャーでは、この機能を制御するクリック可能なリンクが利用できるようになりました。
タスク マネージャーの[スタートアップ]タブには、Windowsの起動後に自動的に開く現在のソフトウェア アプリケーションの一覧が表示されます。各アプリケーションのステータスが表示されます。アプリケーションをハイライトし、[無効化]をクリックして、個々のソフトウェア アプリケーションを無効にします。
(図10:MSCONFIG>タスク マネージャー>[スタートアップ]タブ)
(図11:MSCONFIGの[ツール]タブ)
[ツール]タブには、コンピューターのパフォーマンスを向上させるために実行できる診断ツールやその他の高度なツールが表示されます。ツールを開く前に、ツール名の横にある説明を読んで、その機能についてよく理解してください。ツールを開くには、リストからツール名を選択し、[起動]ボタンをクリックします。これらのツールは、イベント ビューアーなどオペレーティング システムに組み込まれているツールであり、すべてはこのタブの下の1か所にまとめられています。
変更完了後、MSCONFIGユーティリティーを終了すると再起動するように求められます。変更が再起動時の動作に反映されているかどうかを確認する必要があります。設定が反映されていることを確認できたら、設定を維持し、問題をさらに絞り込むことができます。反映されていない場合は、設定をデフォルトに戻して、別の変更を加えて再試行してください。
(図12:MSCONFIGのコンピューター再起動メッセージ)