ワークステーション1台に3枚のハイエンドGPUを搭載できることが決め手に
ウシオライティングの東京本社には、このような多面立体VRシステムのデモンストレーションを行うショールームが常設されている。3面(正面、床面、側面)のスクリーンに対して、3台のプロジェクターで映像を投影するシステム構成だ。
「VRは体験しないと分からないものですので、実際にショールームへ来ていただいてVRを体感していただいています。『HMDでVRを見たことがあるから』と興味を示さなかったお客様も、実際にHoloStageを使っていただくと『周囲が見えるのでVR世界に入りやすい』と言っていただけることも多いです」(橘内氏)
実際のシステム構築ではパートナーのソフトウェア会社と協力しつつ、顧客がすでに有している自動車や建築などのCADデータとソフトウェア環境でVRのデモを行える点もメリットとなっている。
一方、日進月歩でテクノロジーが進化していく中、よりリッチなビジュアル表現による3DデータをVRシステム内で確認したいというニーズも高まってきたという。それに伴い、ウシオライティングでもUnreal Engineを用いて作成したVR映像を扱うようになっていた。しかし、そのなかで顕在化したのが、マシンの性能問題だ。
「ショールームは2020年に有明事業所から八丁堀の本社に移設しましたが、当時のワークステーションではパフォーマンスが足りず、Unreal Engineを用いたVR映像が動かないという課題がありました。こうした背景があり、ワークステーションのリプレースを検討開始しました」と、橘内氏は当時を振り返る。
ワークステーション選定時に第一条件としたのが、RTコアを積んでいるGPUを搭載できることだ。移設時のワークステーションは複数枚のNVIDIA Quadro M6000を積んでいたが、リプレースする際にはQuadro Sync2に対応したNVIDIA RTX A6000を搭載できるワークステーションを選定していった。ウシオライティングでは、アプリケーションによっては3スクリーンにワークステーション1台で映像を投影するケースもあるため、1台にハイエンドGPUを3枚以上搭載できることも条件であった。
「複数社からワークステーションを提案していただきましたが、当時1台でハイエンドGPUを3枚以上搭載できるのはDell Precisionワークステーションしかありませんでした。他社からは、2台のワークステーションを接続して構成するという提案もいただきましたが、同期を取るのが難しく、エラーの対処など運用で不安な面もあったのでDell Precisionワークステーションを選定しました」(橘内氏)