• お客様の事例

    長崎県立大学:PowerStore / VMware Aria & NSX導入事例

    • 情報セキュリティ演習室用ストレージをDell PowerStoreとDell Unity XTで構築 次世代を担う高度セキュリティ人材の育成と地域経済の活性化に貢献

    • ビジネス課題

      長崎県立大学シーボルト校では、学生と企業が共同で情報セキュリティに関する教育研究を行う新施設「情報セキュリティ産学共同研究センター」を新たに設置した。これに伴い、学生向けセキュリティ演習システムも一新することを決定。より高度で先進的なセキュリティ演習環境を実現すべく、ストレージをはじめとする各種ICT製品の調達に取り組むこととなった。

    • 導入効果

      • 圧縮重複排除機能を活用し、ストレージ容量を約1/15に削減することに成功
      • セキュリティ演習用ストレージの性能を従来の約2.5倍にアップ
      • 演習環境を学生自身がセルフプロビジョニングを行う際の時間を従来の約1/2に短縮
      • サイバー攻撃のデータを大量に収集することが可能に
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        「情報セキュリティ産学共同研究センター内に設置された新セキュリティ演習室では、国内有数のシステム/ネットワーク環境が実現。これを学生への教育や企業との共同研究に活かすことで、セキュリティ人材の育成や地域産業への貢献を進めていきたいと思います」

        長崎県立大学
        情報システム学部 情報セキュリティ学科
        教授
        岡田 雅之氏

      • 長崎県立大学
        情報システム学部
        情報セキュリティ学科
        教授
        岡田 雅之氏

      • 長崎県立大学
        情報システム室
        赤瀬 和雄氏

      • 長崎県立大学
        情報システム室
        寺方 聡氏

    • 高度セキュリティ人材の育成を担う情報セキュリティ産学共同研究センターをシーボルト校キャンパスに設置

      「人間を尊重し平和を希求する精神を備えた創造性豊かな人材の育成」「長崎に根ざした新たな知の創造」「大学の総合力に基づく地域社会及び国際社会への貢献」の3点を大学の理念・目的として掲げる長崎県立大学。佐世保校とシーボルト校の2キャンパスを展開する同大学では、経営学部・地域創造学部・国際社会学部・情報システム学部・看護栄養学部の5学部と大学院を擁し、それぞれの分野で活躍できる専門人材の育成を推進している。

      中でも注目されるのが、情報システム学部情報セキュリティ学科だ。同学科は情報セキュリティを専門に学ぶ日本初の学科として2016年にスタート。これからの社会に必要とされる情報セキュリティの知識を体系的・網羅的に学べるほか、セキュリティコンテストなどのイベントや企業インターンシップへの参加も積極的に後押ししている。学内には以前からVMware Aria Automation(以下、Aria Automation)とVMware NSX(以下、NSX)を活用したセキュリティ演習設備が構築されているため、最新の攻撃/防御手法を学ぶことが可能だ。

      さらに今回、こうした同学科の教育研究活動をさらに加速する新たな施設がシーボルト校内に設置された。企業と学生の交流や共同研究による実践的教育を推進する「情報セキュリティ産学共同研究センター」である。長崎県立大学情報システム学部情報セキュリティ学科教授 岡田雅之氏は、その狙いを「地域経済が一段と厳しさを増す中で、長崎県としても積極的に産業振興を進めていかなくてはなりません。産学連携施設である当センターも、先進セキュリティ人材の育成を通じてそうした取り組みに寄与。県内へのIT企業誘致や学生の県内就職につなげていければと考えています」と語る。

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        「旧演習室ではストレージの性能がボトルネックとなるケースがありましたが、Dell PowerStoreを導入したことで無事解消できました。また、インフラ/フォレンジック用に導入したDell Unity XTも、コストパフォーマンスの最適化に役立っています」

        長崎県立大学
        情報システム室
        赤瀬 和雄氏

    • Dell PowerStoreとDell Unity XTをセキュリティ演習やフォレンジックに活用

      2023年3月に完成記念式典を迎えた同センターは、3階建ての建物の内、1階には情報セキュリティ演習室や企業との共同ラボが、2~3階には教員の研究室や学生の実験室などが置かれている。広く取った通路をコミュニケーションスペースとして使えるようにするなど、内外観の設計にも強いこだわりが伺える。サーバールームもガラス張りで、ラックをLEDで光らせることも可能だ。

      もちろんデザイン面だけでなく、教育研究を支えるICT環境についても様々な工夫が施されている。岡田氏は「新情報セキュリティ演習室の設計にあたっては、学生が社会に出た時に実際に活用できる実践的な環境を目指しました。たとえば、通信環境についても、大学単独設備としては珍しい通信事業者向けインターネット環境を導入。また、演習室用仮想化基盤についても、企業や自治体などで広く使われているVMware vSphere(以下、vSphere)、NSXで構築しています」と説明する。

      環境を構成する各種製品/ソリューションについては、一般競争入札での調達が行われたが、その仕様策定についても細心の注意を払ったとのこと。長崎県立大学情報システム室 赤瀬和雄氏は、「たとえばセキュリティ演習で利用するストレージについては、旧セキュリティ演習室時代に性能不足が課題となったことから、高IOPSを確保できるハイパフォーマンス製品を導入したいと考えました。具体的には、旧環境比で約2.5倍の性能を有することを条件としています」と説明する。その一方で、ProxyやDNS、Active Directoryといった直接教育に関わらないインフラ関連システムやフォレンジックシステム用のストレージについては、それほど高負荷が掛からないことから、性能とコストのバランスに優れたストレージを選ぶこととした。

      一般競争入札の結果、ユニアデックスが本件を落札。その結果、前述の要件を満たすストレージとして導入されたのが、デル・テクノロジーズのスケーラブル・オールフラッシュストレージ「Dell PowerStore 9000T」(以下、PowerStore)、並びにユニファイド・ストレージ「Dell Unity XT 480」(以下、Unity XT)である。

    • 演習用サーバーのプロビジョニング時間を従来の約1/2に短縮

      今回導入されたPowerStoreは、ミッドレンジ~ハイエンド用途向けの高性能ストレージである。エンドツーエンドのフルNVMeアーキテクチャを採用しており、NVMe-oF(NVMe over Fabrics)などの高速なインターフェースにも対応。負荷の重いシステムであっても、問題なく適用することができる。また、スケールアップ/スケールアウトの両方に対応しているため、必要に応じた形で柔軟に拡張することが可能だ。

      前述の通り、旧セキュリティ演習室では、しばしばストレージの性能がボトルネックとなる場面があった。長崎県立大学情報システム室 寺方聡氏は「学生が授業を受ける際には、VMwareの自動化ツールAria Automationを用いて、自分達で環境をセルフプロビジョニングしてもらいます。しかし以前は、ストレージが原因となり、1台プロビジョニングするのに5分以上掛かっていたため、1クラス40名の学生が一斉に作業を行うと、講義が1コマの時間内に収まらないこともありました」と振り返る。

      こうした場合には、やむなく前の時間に環境を作っておき、次の時間から使う形で凌いでいたという。しかし、PowerStoreを導入してからは、このような面倒な対応は不要に。情報セキュリティ学科の定員が以前の40人から80人に倍増したにも関わらず、従来の半分程度の時間でAria Automationからのセルフプロビジョニングが行えるようになった。セルフプロビジョニングの設計フェーズでは、VMwareプロフェッショナルサービスを活用した。現在では最低限の工数で再展開が行えるようになる等、より効率的な授業運営を実現した。「旧環境では、少人数しか作業していないのにも関わらずレスポンスが遅くなるなど、性能のゆらぎを感じる場面もありました。これもPowerStoreになってからは、安定的に性能が出るようになり大変助かっていますね」と岡田氏は語る。

      ちなみに演習用のネットワーク環境については、VMwareのネットワーク仮想化ソリューション「VMware NSX」を活用。マイクロセグメンテーション機能を用いて、学生一人ひとりのセグメントを分離することで、セキュリティの確保や授業準備の効率化に役立てている。「80人×4学年分のセグメントを、通常の物理スイッチやvLANで提供するのは極めて困難です。本学科においては、簡単に仮想ネットワークを払い出せるNSXのような自由度が高い仕組みが欠かせません」と赤瀬氏は語る。

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        「Dell PowerStoreの圧縮・重複排除機能の効果は非常に大きく、データ容量を約1/15に削減できています。VMware NSX やVMware Aria AutomationなどのVMwareソリューションも、効率的な授業運営を実現する上で欠かせない存在です」

        長崎県立大学
        情報システム室
        寺方 聡氏

    • ストレージ容量を1/15に削減 サイバー攻撃のデータも大量に収集することが可能に

      加えて見逃せないのが、圧縮・重複排除機能の効果である。寺方氏は「デル・テクノロジーズの『Future-Proofプログラム』では、PowerStoreの場合4:1のデータ削減を保証していますが、本学の環境ではさらに効果が大きく15:1の圧縮・重複排除率を達成しています。今回導入したPowerStoreの総容量は約100TBですが、まだまだリソースには余裕がありますね」とにこやかに語る。

      また、インフラ関連/フォレンジックシステム用に導入された2台のUnity XTも、大きな効果を発揮。演習用システムほどのパフォーマンスは要求されないとはいえ、こちらもオールフラッシュ構成となっているため、大幅な性能向上を果たしている。「特にその効果が顕著なのが、フォレンジックシステムです。今回、通信事業者並みのネットワークを構築したことで、本学を狙った攻撃も飛躍的に増加。収集対象のデータ量もかなり増えましたが、問題なく処理することができています。学生にサイバー攻撃のリアルな実態を学んでもらう上でも、大きな成果がありましたね」と岡田氏は語る。

      情報セキュリティ学科では、今後も刷新された演習環境を活用し、次世代を担う高度セキュリティ人材の育成を進めていく考えだ。岡田氏は今後の展望を「実は長崎は、日本における国際電信発祥の地でもあります。大陸に近く、海外の先進人材が集まる出島があり、歴史的にも国際交流の舞台であったこと。この地の利・人の利・史の利が揃ったことで、国際電信の中心的な役割を担うことになったのですね。これからのICT時代においても、こうした国際都市・長崎の持つ強みを活かせるはず。デル・テクノロジーズとユニアデックス、ヴイエムウェアにも、ぜひその支援を期待したいと思います」と述べた。

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    • お客様名 : 長崎県立大学

      業種 : 文教

      場所 : 日本/長崎