演習用サーバーのプロビジョニング時間を従来の約1/2に短縮
今回導入されたPowerStoreは、ミッドレンジ~ハイエンド用途向けの高性能ストレージである。エンドツーエンドのフルNVMeアーキテクチャを採用しており、NVMe-oF(NVMe over Fabrics)などの高速なインターフェースにも対応。負荷の重いシステムであっても、問題なく適用することができる。また、スケールアップ/スケールアウトの両方に対応しているため、必要に応じた形で柔軟に拡張することが可能だ。
前述の通り、旧セキュリティ演習室では、しばしばストレージの性能がボトルネックとなる場面があった。長崎県立大学情報システム室 寺方聡氏は「学生が授業を受ける際には、VMwareの自動化ツールAria Automationを用いて、自分達で環境をセルフプロビジョニングしてもらいます。しかし以前は、ストレージが原因となり、1台プロビジョニングするのに5分以上掛かっていたため、1クラス40名の学生が一斉に作業を行うと、講義が1コマの時間内に収まらないこともありました」と振り返る。
こうした場合には、やむなく前の時間に環境を作っておき、次の時間から使う形で凌いでいたという。しかし、PowerStoreを導入してからは、このような面倒な対応は不要に。情報セキュリティ学科の定員が以前の40人から80人に倍増したにも関わらず、従来の半分程度の時間でAria Automationからのセルフプロビジョニングが行えるようになった。セルフプロビジョニングの設計フェーズでは、VMwareプロフェッショナルサービスを活用した。現在では最低限の工数で再展開が行えるようになる等、より効率的な授業運営を実現した。「旧環境では、少人数しか作業していないのにも関わらずレスポンスが遅くなるなど、性能のゆらぎを感じる場面もありました。これもPowerStoreになってからは、安定的に性能が出るようになり大変助かっていますね」と岡田氏は語る。
ちなみに演習用のネットワーク環境については、VMwareのネットワーク仮想化ソリューション「VMware NSX」を活用。マイクロセグメンテーション機能を用いて、学生一人ひとりのセグメントを分離することで、セキュリティの確保や授業準備の効率化に役立てている。「80人×4学年分のセグメントを、通常の物理スイッチやvLANで提供するのは極めて困難です。本学科においては、簡単に仮想ネットワークを払い出せるNSXのような自由度が高い仕組みが欠かせません」と赤瀬氏は語る。