国内シェアNo.1レンタルサーバー事業者の選択に見る「第3世代AMD EPCY™」の実力とその効果とは

国内シェアNo.1(※1)のサーバーレンタルサービス「エックスサーバー」を運営・提供するエックスサーバー。同社は第3世代「AMD EPYC™ サーバー・プロセッサー(以下、EPYC)※エピックと発音」を搭載したサーバーをいち早く採用し、2021年10月にサービスインしている。同社では第2世代のEPYCも導入しているが、それに引き続くEPYCの採用となった。なぜ同社ではEPYC搭載サーバーを選択したのか。そのメリットはどこにあるのか。キーパーソンたちに話を聞いた。(※1 2021年10月時点 hostadvice.調べ(参考)https://ja.hostadvice.com/marketshare/jp/)

常に「最高」を追求するレンタルサーバー事業者の選択

エックスサーバー株式会社
取締役副社長/CTO
辰巳 準之介氏

2019年8月に第2世代「Rome(ローマ)」がリリースされ、「1ソケットで2ソケット相当の能力を発揮する」と注目を集めたEPYC。今年3月にはその第3世代である「Milan(ミラン)」も登場し、さらなる進化を遂げた。クライアント端末に比べて選択肢が少なかったサーバーCPUの世界を、大きく拡大するものとして期待も高まっている。

この第3世代のEPYCを搭載したサーバーをいち早く導入し、自社サービスに組み込んでいるのがエックスサーバーである。

同社は2003年に設立されたレンタルサーバー事業者。そのサービスの1つである「エックスサーバー」は、サーバー速度No.1、サーバー稼働率99.99%以上を誇っており、月額約1000円~という価格帯も相まって、顧客から高い評価を受けている。実際にエックスサーバー上で運用されているサイト数は200万を突破、国内シェアもNo.1となっている。

「当社はお客様に『最高を提供する』という企業理念のもと、インフラサービスを基軸とした最高のインターネットサービスをつくることを目指しています」と語るのは、エックスサーバーで取締役副社長 兼 CTOを務める辰巳 準之介氏。顧客に対するアンケート調査も継続的に実施しており、コストパフォーマンスだけではなく安定性に対しても、高い評価を受けているという。「エックスサーバーを開始したころは主に個人のお客様に対してサービスを提供していましたが、2018年には法人向けレンタルサーバーサービス『XServerビジネス』も開始しています。コロナ禍によるオンラインへのシフトもあって、個人様、法人様ともに、現在もお客様の数は増加し続けています」。

エックスサーバーのサービスの質を支えているのは、18年以上積み重ねてきた豊富なノウハウと高い技術力、そしてセキュリティ完備の国内データセンターで24時間サーバーを監視するという強じんかつきめ細かい運用力にある。加えて注目したいのが、速度と安定性に優れる最新の高性能サーバーを採用している点だ。

第2世代のEPYC導入で性能と安定性が大きく向上

エックスサーバー株式会社
取締役/インフラ資源管理グループ
石丸 洋平氏

「レンタルサーバー事業で常に『最高』を追求し続けるには、その根幹となるサーバー選択も重要です」と語るのは、エックスサーバーでサーバーの調達を取りまとめる石丸 洋平氏だ。そのため常に最新のサーバー技術やサーバー製品の調査を行っており、顧客にメリットがあると判断されたものは積極的に採用しているという。

その具体例の1つが、冒頭で触れた第2世代のEPYCを搭載したサーバーの採用である。これについて、辰巳氏は次のように述べる。

「当社では最新のサーバー製品をカタログスペックで評価するだけではなく、実機でのパフォーマンス評価も行っています。その結果、第2世代のEPYCはコストに対して劇的にパフォーマンスが高く、これを提供しないのは『最高のサービスを提供する』という理念に反すると感じました。そのためすぐに導入してお客様に提供すべきだと判断しました」。

この際に採用されたのは、第2世代のEPYCのためにシステムボードなどを新たに設計し直したDell PowerEdgeサーバーだ。

ほかの製品には、第1世代EPYC向けにつくられたサーバーに第2世代のEPYCを搭載した製品も多いが、Dell PowerEdgeはそれらとは大きく異なっていた点が評価された「第2世代のEPYCのために最適化されたサーバー」だったからだ。

またオールNVMeのRAID10構成によってストレージのスピードが劇的に向上していることや、高い負荷によって発生した熱を効率的に排出できるエアフローを実現している点、さらには様々な基本機能が強化されていることなども評価。「検証機でテストしてみた結果、採用すべきサーバー製品はこれだと確信しました」と石丸氏は振り返る。

第2世代EPYC搭載のDell PowerEdgeは既にエックスサーバーのサービスで活用され、大きな威力を発揮。エックスサーバーはサーバー処理比較で他社サービスの4~5倍(※2)という数値を出しているという。

※2 2020年2月14日~2020年2月20日 エックスサーバー調べ

実機検証で判明した「期待以上」の性能向上

エックスサーバー株式会社
インフラ保守運用事業部
サーバー開発課 課長
津田 雅之氏

しかし第2世代EPYC採用のメリットはパフォーマンス向上だけではないと話すのは、エックスサーバーでシステムのアーキテクチャの設計を担当する津田 雅之氏だ。実は安定稼働にも大きな貢献を果たしているという。

「レンタルサーバー事業では1台の物理サーバーを複数のお客様でシェアしていただくケースが多いため、負荷のピークにどう対応するかが重要です。負荷が一気に上昇するとサーバーの安定稼働が難しくなり、同じサーバーをシェアするほかのお客様にも影響を与えてしまうからです。最近では画像や動画を掲載したサイトが増えており、サイトへのアクセスも増えています。そのためピーク性能をいかに高く確保するかが、安定性を大きく左右する要因になっているのです」

つまりEPYC搭載サーバーの処理性能を高めることができれば、コストパフォーマンスと安定性の両方が向上することになり、ユーザーにとって大きなメリットになる。このような実績があったことから、2021年3月に第3世代EPYCが登場した際にいち早くその評価に乗り出したのも、当然の流れだったといえるだろう。

しかし「当初はそれほど大きな期待は寄せていませんでした。第2世代に比べてそれほどの性能アップになるという印象はなかったのです」と石丸氏は振り返る。

しかし今回もデル・テクノロジーズから検証機を借り、実機でテストした結果、期待以上の性能向上が果たされていることが分かった。sysbenchを使ったベンチマーク結果では、第2世代EPYCと比較した場合、第3世代EPYCのパフォーマンスは3倍近くも向上していた。

その性能向上の要因として津田氏が挙げるのが、シングルコアの性能アップである。「第2世代では48コアという膨大なコア数と512GBという大容量メモリによって性能を引き出していました。しかし第3世代ではマルチコア性能はもちろんのこと、シングルコア性能も高くなっています。これによってサーバー全体としても、さらなるパフォーマンス向上を実現できます」。

このような実機検証も含めた評価に基づき、今回も第3世代EPYC搭載サーバーとしてDell PowerEdgeを採用した。その際、CPU以外での進化を遂げていることもポイントになったという。その1つが、Rome搭載サーバーで実現されていた「オールNVMe RAID」の強化だ。以前のモデルはソフトウエアRAIDだったが、第3世代搭載モデルではハードウエアRAIDもサポートされるようになり、さらなる高速化が可能になっているのである。

「この製品であれば、瞬発的なピークに対応でき、安定性も高まると期待しています。しかも当社には第2世代EPYCでこれまで2年間運用してきた実績があるため、そのノウハウもそのまま活用できます。さらに、ラックあたりの電力供給量や排熱量が決まっている中で、消費電力あたりの性能が向上していることも、コストパフォーマンス向上に寄与すると考えています」(辰巳氏)

デル・テクノロジーズのサポートも高く評価、製品調達も短期間で実現

デル・テクノロジーズのサポートサービスへの評価も高い。「デル・テクノロジーズの担当者とは継続的に交流しており、最新技術の動向や最新サーバーのスペック情報などもいち早く提供してもらっています。そのため最新サーバーの評価・検討も、早い段階から行えました。また今回のサーバー調達では、全世界的な半導体不足で半導体供給が限られた状況の中、かなり頑張っていただきました。他社サーバーでは納品まで半年待ち、1年待ちがある中、デル・テクノロジーズは大量のサーバー調達にもかかわらず、わずか2カ月でサーバーをそろえてくれました」と石丸氏は話す。

これに加え、問題発生時の対応も迅速だという。「レンタルサーバー事業では膨大な数のサーバーが使われているため、ハードウエアの問題が発生することも少なくない。しかしデル・テクノロジーズは必要な部品調達など、迅速に対応してくれるので安心です」と津田氏は語る。

第3世代AMD EPYC搭載Dell PowerEdgeサーバーを活用したサービスの立ち上げも、順調に進展していった。既に2021年10月にサービスインしており、顧客からの注目を集めている。

「今回の第3世代EPYC導入で処理性能と安定性がさらに向上したことで、お客様への価値も高まるはずです。当社が最高を追い求めていくためには、最新技術を搭載したサーバーをいかに使いこなしていくかが大きなカギを握ります。これからも新しい技術やサーバーにいち早くキャッチアップし、アップデートし続けていきます」と辰巳氏。新しいサービス基盤を軸に、同社では今後もさらなる幅広い顧客ニーズに対応していく考えだ。

日経BP社の許可により、2021年11月5日~2021年12月2日掲載の日経xTECH Specialを再構成したものです。
https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NXT/21/delltechnologies1105/

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