過酷な環境で活用されている堅牢ノートPC
過酷な状況で、その真価を発揮するデバイスがある。デル・テクノロジーズの堅牢ノートPC「Ruggedシリーズ」だ。「Rugged(ラグド)」という言葉は、岩だらけで起伏に富む地形の様子や、天候が荒れていることを示す形容詞。海上や山岳地帯、寒冷地域など過酷な現場環境でも安定して動作するLatitude Ruggedシリーズには相応しいネーミングだ。
例えば建築現場では、ノートPCをぶつけたり、高所から落としてしまったりといった危険にさらされることが多い。しかしLatitude Ruggedシリーズでは、落下などによる衝撃が加わっても故障しないよう、内部に衝撃のエネルギーが伝わり難い構造を採用している。
船の上や海岸地域では、ノートPCの利用中に水しぶきにさらされることが多い。また海水や潮風に含まれる塩分によって、筐体やコネクタ部分、さらには内部の基板が腐食して故障する可能性も高い。
こうしたトラブルに対応するため、Latitude Ruggedシリーズでは防水性や密閉性、防塵性の高い筐体を採用し、安心して利用できる環境を整えている。水がかかったり泥が付いたりしても、モデルによっては水洗いも可能だ。
実際、日本海洋科学では、操船支援や本船監視を行うシステムの端末としてLatitude Ruggedシリーズの「フルラグド仕様(詳細後述)」のタブレットを採用している。タンカーやLNG船上、桟橋など高いレベルでの防爆性や防塵性、防水性を要求される現場でも安心して利用できるため、高い評価を得ているという。
酷暑や極寒地域でも、ノートPCは使いにくい。例えば真夏の作業現場では、強烈な日差しにさらされて画面が見にくくなるし、高熱の環境では熱暴走を起こすこともある。寒冷地帯では気温が低すぎることで部品が凍結したり、バッテリーの充電容量が低下し、パソコンが利用できなくなったり、故障したりすることがある。
こうした極端な気温や環境にも対応できるよう、Latitude Ruggedシリーズでは厳選した部品を組み込んでおり、一般的な環境と同じように利用できる。例えば冷凍・冷蔵食品の物流倉庫を運営するフリゴでは、冷凍倉庫などにおける在庫管理や温度管理で、デル・テクノロジーズのLatitude Ruggedシリーズを導入している。
-25℃以下という温度を保たなければならない冷凍倉庫内部でも、Latitude Ruggedシリーズなら安心して利用できる。ピッキングや検品作業のペーパーレス化も、スムーズに進められるようになったという。
救急業務や警察業務では、対衝撃性能を評価され車中で利用されるノートPCとして採用される事例も多い。米国の事例になるが、バージニア州シェナンドー郡保安官事務所では、事件や事故処理のデジタル化のためにLatitude Ruggedシリーズを導入することで、作業効率が大きく高まったという。
最新CPUを搭載して性能やバッテリー駆動時間が向上
Latitude 7330 Rugged ExtremeとLatitude 5430 Ruggedは、Latitude Ruggedシリーズとしては約3年ぶりの新モデルとなる。4隅に固いゴム製の保護材を配置し、無骨で頑丈さを強くイメージさせるデザインを採用するのは従来のLatitude Ruggedシリーズと同様だが、中身は大きく変わった。
CPUは最新の「第11世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリー」を採用し、システム全体を刷新した。「第7/8世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリー」を搭載していた従来のモデルと比べると、CPU性能や内蔵GPU性能は大きく向上している。
今後は、業務向けのアプリやサービスでもWindows 11対応が進んでいく。セキュリティを考えれば企業向けのシステムでもWindows 11への移行は避けられないため、将来性を考えるとWindows 11に対応する最新プラットフォームを採用するメリットは大きい。
また第11世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーは、省電力性にも優れている。そのため、これらの最新モデルではバッテリー駆動時間が大幅に延びた。Latitude Ruggedシリーズを導入するような過酷な現場では、バッテリーがなくなったからといって簡単に充電できる場所には戻れないことも多い。最新モデルなら、より長い時間バッテリー駆動のみで利用できるようになる。
またバッテリーに関しては、前モデルと同様に2個のバッテリースロットを装備している。このバッテリースロットはホットスワップに対応しており、バッテリーが1個でも組み込まれていれば、パソコンは問題なく動作する。
片方が放電したとしても、用意しておいた予備のバッテリーに交換するだけでよい。バッテリーをいくつか予備で用意しておくことで、非常に長い時間、バッテリーのみで動作できる。これも、充電環境の厳しい状況で要求される機能の1つである。
オプションで、5G対応のワイヤレスデータ通信機能(WAN機能)を追加できるようになったことにも注目したい。最近のビジネスでは現場で取得したデータをネット上のデータと同期/リンクしたり、ビッグデータを活用したりするために、インターネットへの接続が不可欠となっている。そうした状況を考えれば、当然のオプションといえる。
インターネットに接続したいなら、スマートフォンのテザリングを利用すればいいと考えるユーザーもいるかもしれない。しかしLatitude Ruggedシリーズを利用しなければならない過酷な環境では、一般的なスマートフォンだとうまく動かない可能性もある。パソコン内部にWAN機能を内蔵する意味合いは大きい。
液晶サイズが13.3型になり、筐体は薄く軽量化された
ここからは、それぞれのモデルのポイントを紹介していきたい。上位モデルのLatitude 7330 Rugged Extremeは、デル・テクノロジーズでは「フルラグド」と呼ばれている防塵性や耐水性を追求したモデルだ。米軍調達規格では「MIL-810H」に対応するほか、日本での防塵、防水規格を示す「IPコード」では「IP65」を取得している。
IPコードの「IP6x」(xは防水規格の数字が入る)は粉塵が内部に入り込むことを完全に防御できることを示し、「IPx5」(同じくxには防塵規格の数字が入る)はいかなる方向から水がかかっても有害な影響を受けないということを示す。
実際、充電用のType-CポートやUSBポート、ディスプレイ出力端子などはゴム製のカバーで完全に覆われているほか、そのカバーをロックする機構も装備している。きちんと蓋を閉めてロックしておけば、ポートに水や泥がかかってPCが故障する心配はない。
Latitude 7330 Rugged Extremeの液晶ディスプレイは、14型を採用する前モデルの「Latitude 7424 Rugged Extreme」に比べてやや小さめの13.3型だ。前モデルが発売された当時は14型が主流で人気が高かったが、現状ではもう少し小さめの液晶パネルを搭載するモデルのニーズが高くなっていることもあり、やや小さめのパネルサイズを採用したのだという。
液晶パネル自体のスペックも強化された。従来モデルでも1000nitsという非常に明るい液晶パネルを選択できたが、Latitude 7330 Rugged Extremeでは1400nits、Latitude 5430 Ruggedでも最大1100nitsという驚異的な明るさの液晶パネルが選択できる。
一般的なノートパソコンの液晶パネルだと、200~300nitsというスペックが一般的なだけに、ちょっと想像できないような数値だ。例えていうなら、砂漠の直射日光下でも画面をしっかりと確認できるような明るさだ。もちろん液晶の明るさは自動で調整されるため、一般的な場所で利用するときは、適切な明るさになる。
このように液晶パネルが小さくなったこと、そしてCPUや基板などのプラットフォームが最新版に更新されたことにより、従来機種と比べると筐体がかなり薄くなり、スタイリッシュになっている。
Latitude 7330 Rugged Extremeの厚みは36.5mmであり、前モデルのLatitude 7424 Rugged Extremeの厚みが51.3mmと比べると14.8mmも薄型化された。また重さも3.45kgから2.32kgまで大幅に軽量化されており、移動時の負担も少なくなっている。
NVIDIAのGPU「Quadro T500」を搭載可能に
Latitude 5430 Ruggedは、上位モデルのLatitude 7330 Rugged Extremeと同じようにMIL-810Hに対応するほか、IPコードでは「IP53」を取得している。防塵機能については、粉塵が入り込むことを完全に防げるわけではないが、機器の正常な動作に支障を来すことはない。防水機能に関しては、降雨時でも機器の動作に影響を受けることはないという。
Latitude 5430 Ruggedでも、両側面や背面に装備する端子類にゴム製のカバーがあり、しっかりと封印できるようになっている。ただしLatitude 7330 Rugged Extremeのようなロックはなく、そうした部分が取得しているIPコードの違いに影響しているのだろう。
こうした違いもあり、Latitude 7330 Rugged Extremeはフルラグドと呼ばれているのに対して、Latitude 5430 Ruggedは「セミラグド」と呼ばれている。利用する環境に合わせて選択したい。
Latitude 5430 Ruggedでは、前モデルと同様に14型液晶を搭載している。ただしサイズ感は一回り小さくなっている。前モデルの「Latitude 5424 Rugged」の最厚部が44mmであるのに対して、Latitude 5430 Ruggedでは33.6mmであり、Latitude 7330 Rugged Extremeと同様に薄く扱いやすくなった。
Latitude 7330 Rugged Extremeにはないオプションとして、NVIDIAの「Quadro T500」をGPUとして追加できることにも注目したい。これは、プロフェッショナル向けの3Dグラフィックス描画支援用のGPUであり、3D CADソフトによる設計作業やプレゼンテーション、AIなど高度な演算処理が必要な業務では必須のオプションとなる。
ドッキングステーションなどの周辺機器も充実
両モデルに共通のオプションとして、手前側にネジ止めすることで、片手で持てるようになる「ハンドル」がある。アタッシュケースのような感覚でノートPC本体を持ち歩けるようになる便利アイテムなので、是非追加して活用したい。また、Type-Cポート経由で利用できるドッキングステーションも用意される予定だ。
ここまで紹介してきたとおり、前モデルと比べると別ものといってもいいレベルで進化した最新のLatitude Ruggedシリーズ。過酷な環境での様々な業務を、快適・効率的に行いたいなら、有効な選択肢となるはずだ。
Rugged 7330
過酷な環境にも対応
軽量でパワフルな5G対応13インチ高耐久性ノートパソコン
製品名:Dell Latitude 7330 Rugged Extreme
プロセッサー:第11世代インテル® Core™ i7/i5 プロセッサー
OS:Windows 11 Pro/Home、Windows 10 Pro、Ubuntu Linux
メモリー:8 GB、16 GB、32 GB
HDD/SSD:128 GB、256 GB、512 GB、1 TB、2 TB SSD
寸法(幅、奥行、高さ):324 mm、220 mm、36.5 mm
最小重量:2.32kg
動作時温度範囲*:-29℃~63℃
非動作時の範囲:-51℃~71℃
IEC 60529防塵防滴機能**:IP-65(防塵、高水圧防水)
*アダプターを使用した-29℃までの低温でのシステム テストとMIL-810の温度テストを含み、パフォーマンスの低下はありません。バッテリー使用時に動作時温度範囲が-20~-29°Cの場合、システムの起動(コールドブート)時間が遅くなる場合があります。起動後、システムパフォーマンスの低下は見られませんが、バッテリー駆動時間が約20分以下になることがあります。0~-20℃では、バッテリーが大幅に劣化する場合があります。極端に温度が低い場合、可能であれば、システムを暖かい環境で起動してから、屋外で使用することをお勧めします。
** サービスは地域によって異なる場合があります。一部のアイテムは製品導入後に提供される場合があります。詳細については、www.dell.com/supportで公開されているテクニカル ガイドブックをご覧ください。
Rugged 5430
あらゆる場所での作業に対応
軽量でパワフルな5G対応14インチ準高耐久性ノートパソコン
製品名:Dell Latitude 5430 Rugged
プロセッサー:第11世代インテル® Core™ i7/i5 プロセッサー
OS:Windows 11 Pro/Home、Windows 10 Pro、Ubuntu Linux
メモリー:8 GB、16 GB、32 GB、64 GB
HDD/SSD:128 GB、256 GB、512 GB、1 TB、2 TB SSD
寸法(幅、奥行、高さ):340 mm、220 mm、33.6 mm
重量:1.97kg
動作時温度範囲*:-29℃~63℃
非動作時の範囲:-51℃~71℃
IEC 60529防塵防滴機能**:IP-53 (防塵、あらゆる方向から吹き付ける水に対する保護)
*アダプターを使用した-29℃までの低温でのシステム テストとMIL-810の温度テストを含み、パフォーマンスの低下はありません。バッテリー使用時に動作時温度範囲が-20~-29°Cの場合、システムの起動(コールドブート)時間が遅くなる場合があります。起動後、システムパフォーマンスの低下は見られませんが、バッテリー駆動時間が約20分以下になることがあります。0~-20℃では、バッテリーが大幅に劣化する場合があります。極端に温度が低い場合、可能であれば、システムを暖かい環境で起動してから、屋外で使用することをお勧めします。
** サービスは地域によって異なる場合があります。一部のアイテムは製品導入後に提供される場合があります。詳細については、www.dell.com/supportで公開されているテクニカル ガイドブックをご覧ください。
日経BP社の許可により、2021年12月20日~ 2022年1月23日掲載 の 日経 xTECH Special を再構成したものです。
https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NXT/21/delltechnologies1220/