ワークスタイルが多様化するいま改めて考えたい 業務内容や役割に応じた「社員に最適なPC」とは

コロナ禍をきっかけにICT活用は大きく変化した。在宅勤務のために慌ててノートPCを配布した企業も少なくないはずだ。しかしコロナ禍が一段落した今、ワークスタイルが再び変化し、社員にとって最適なPCを選び直そうという機運が高まっている。社員が使用するPCによって、生産性が大きく左右されることが分かってきたからだ。しかし「社員にとって最適なPC」は、その業務内容や果たすべき役割によっても異なってくる。そこでここでは、企業・組織内の人々を4種類の「ペルソナ」に分け、それぞれに最適なPCが何なのかについて考えてみたい。

重要性を増す「業務特性に合わせたPC選択」という考え方

コロナ禍を経て、働き方は大きく変化した。以前はオフィスに出社して仕事をするのが当たり前だったが、現在ではオフィスワークと在宅ワークを適宜使い分ける「ハイブリッドワーク」が一般的になっている。また職種によってはフルリモートの働き方も、珍しいものではなくなった。

短期間でこれだけ一気に働き方が変わったのは、それ以前からも「新しい働き方」への強いニーズがあったからにほかならない。日本は以前から少子高齢化社会になっており、働き手の人数は長期的に減少傾向にある。限られた人員で生産性を維持・向上させるには「働き方改革」が待ったなしだった。こうしたニーズがコロナ禍を機に、一気に顕在化したわけだ。

「働き方改革」の大きなテーマである「時間や場所にとらわれない働き方」を実現する上で、重要なカギになるのがICTの積極的な活用だ。業務に必要なPCや周辺機器を自宅に持ち込み、リモートから社内システムにアクセスしたり、クラウドサービスを活用したりすることで業務を遂行する。こうしたスタイルは、既に一般的なものになった。

しかし、コロナ禍に伴う在宅勤務へのシフトに急遽対応したことで、後から問題に直面することになった企業も少なくない。急いで在宅勤務用のPCを社員に配布する必要が生じたことから、そのタイミングで入手できる製品を「とりあえず」用意する、といったケースが多かったからだ。またコロナ禍では物流の停滞に伴いサプライチェーンが寸断されたことから、入手できる製品が限られるという問題も生じていた。そのため改めて、社員に配布するPCを見直そうという動きも見られるようになっている。

ここで忘れてはならないのが、社員と一口にいっても、所属部門や役職によって業務の特性が大きく異なっている、という点だ。業務に最適なPCがどのようなものなのかも、当然ながら業務特性によって変わってくる。

また現在の日本企業の雇用形態が、従来の「メンバーシップ型雇用」から、世界的に見て標準的な「ジョブ型雇用」へと、大きくシフトしつつあることも大きなポイントだ。ジョブ型雇用が主流になれば、個々の社員と業務内容との関係性は、より強固になっていく。業務特性に合わせてPCを選択すべきという考え方も、これまで以上に強くなるだろう。

4種類に分類できる企業・組織内の人々の「ペルソナ」

それでは具体的に、どのような観点から「業務特性」を見ていけばいいのか。ここで提案したいのが業務内容によって社員を以下のような「4種類のペルソナ」に分ける、というアプローチだ。

・第1のペルソナ:経営者/ビジネスリーダー
・第2のペルソナ:チームリーダー/中間管理職
・第3のペルソナ:専門職/スペシャリスト
・第4のペルソナ:業務遂行者/現場担当者


まず第1のペルソナは、経営者やビジネスをリードする役割を担う存在である。ビジネスの構築と成長を目指し、戦略的なビジョンを策定して、その実行に必要なリソースを確保するのだ。また、外部のステークホルダーとの関係構築も、積極的に行う必要がある。企業や組織の中の約10%が、このペルソナに属していると考えられる。

第2のペルソナは、経営者やビジネスリーダーのもとで、ビジネス戦略の実行について責任を担う存在だ。業務遂行のために編成されたチームを率い、チームメンバー間をつなぐコラボレーションを行うわけだ。業務を中断させることなく、自分に任せられたプロジェクトを着実に遂行していくことが、最も重要なミッションとなる。また自分のチームだけではなく、ほかのチームとの連携をリードしていくことも期待される。このようなペルソナに属する人は、企業や組織の中の約20%だと考えられる。

第3のペルソナは、クリエイティブな分野、複雑性の高い分野で、専門性を発揮する人材である。彼らに期待されるのは、高度な課題や仕事に対して集中的に取り組み、その領域における問題解決や成果の提出を、できるだけ短時間で行うことだ。ほかのチームメンバーとの連携ももちろん必要だが、それ以上に重視されるのは、専門領域に関する詳細な知識、論理的な手法、課題解決や成果物創出に対するクリエイティブな姿勢だといえるだろう。このようなペルソナの属する人は、企業や組織の中の約15%だと考えられる。

そして第4のペルソナが、チームメンバーとしてチームに課せられた役割を、実際に遂行する社員たちである。彼らに求められるのは、日常的な業務で着実に成果を生み出し続けることと、その効率を高め続けること。そのためには与えられたタスクに専念し、より高い生産性を実現することが重要になる。企業や組織の中の半数以上が、このようなペルソナに属しているはずだ。

それぞれのペルソナに求められるPCの特性と具体例

これら4種類のペルソナには、具体的にどのようなPCが適しているのか。仕事の特性を視野に入れながら、順番に考えていきたい。

まず第1のペルソナ(経営者/ビジネスリーダー)の人々は、様々な場所で多岐にわたる意思決定をこなし、その内容をチームリーダーに素早く伝達しなければならない。的確な意思決定とその速やかな実現こそが、彼らにとっての成功のカギとなるからだ。

具体的な活動場所としては、オフィスのデスクやミーティングルームのほか、移動中の車内(自家用車・社用車・新幹線・航空機も含む)や、社外ステークホルダーへの訪問場所(顧客や出資者、協力会社のオフィスなど)、さらには自宅や出張先のホテルなど、実に様々だ。実際にほかのペルソナに比べて移動が20%多く、オフィスで仕事をしているのは週に平均2日程度、という調査データもある。

このようなペルソナに最も必要なのは、携帯性に優れたノートPCだ。またどこででも社内のチームリーダーやステークホルダーと連絡が取れるように、接続性を重視すべきだろう。もちろん、迅速で的確な意思決定を行うには、様々な情報をスピーディに扱える処理性能も欠かせない。自分のオフィスや自宅では外部ディスプレイに接続し、より大きな画面でより多くの情報を表示することも考えるべきだろう。そして対外的なプレゼンスを考えれば、スタイリッシュでプレミアム感のあるデザイン性も求められるはずだ。

その一例として挙げておきたいのが、Dell Latitude 9450 ノートPCである。そしてそのポテンシャルを拡張するために、いくつかの周辺機器を揃えておくこともお勧めしたい。

携帯性、接続性、処理性能、拡張性、そしてスタイリッシュでプレミアム感のあるデザインが求められる

次に第2のペルソナ(チームリーダー/中間管理職)についてだが、通常は自分のデスクで仕事をしている一方で、社内・組織内の会議に出席する機会も多い。また担当チームの役割によっては、顧客や取引先に出向くことが多い人もいるはずだ。さらに、最近では在宅勤務の社員も増えているため、オンラインミーティングへの参加も多いと考えられる。チームによっては、チームリーダー/中間管理職自身がリモートワーク、というケースもあるだろう。

このようなペルソナの人々に必要なPCは、前述の第1のペルソナに近いものになる。携帯性に優れ、接続性が高く、業務現場での意思決定を迅速に下すための処理能力・表示能力が求められるからだ。これを自分のオフィス内で外部ディスプレイと接続すれば、生産性をさらに高めることが可能になるだろう。その一方で、プレミアム感はそれほど必要なく、むしろ汎用性の高さが重要になる。

その一例として挙げておきたいのが、Dell Latitude 7450 ノートPCと、その周辺機器だ。

第1のペルソナと同様に、携帯性、接続性、処理性能が求められる。ただしプレミアム感よりも、汎用性の高い製品を選択することが望ましい

第3のペルソナ(専門職/スペシャリスト)の仕事は、専門性の高い能力を駆使して「アイデアを形にする」ことだ。そのために、3次元CADや3次元CG、CAEなどのエンジニアリングツール、データ分析ツールやビジネスインテリジェンスツール、各種デザインツールなどを駆使することになるだろう。このような専門性の高いアプリケーションのほとんどは、極めて高い処理能力を必要とする。また、多くの専門職/スペシャリストは、多くの仕事を自分のオフィス内で遂行することが多いだろう。

このようなペルソナの人々に必要なのは、高性能なワークステーションだ。高いCPU処理能力に加えて、グラフィックスにも優れたものがよいだろう。また、これに接続するディスプレイは、できるだけ大画面のものが望ましい。さらに、4Kの高解像度ディスプレイを2台接続すれば、作業効率を飛躍的に高めることも容易になるはずだ。

その一例として挙げておきたいのが、Dell Precision 3680 Tower ワークステーションと、その周辺機器である。

高い処理能力が求められる専門性の高いアプリケーションを動かすための、卓越したCPU処理能力とグラフィックスが必要だ。
またより大きなパフォーマンスを生むために、筐体はデスクサイド型かタワー型がよいだろう

もちろんすべての専門職/スペシャリストが、自分のオフィスだけで仕事が完結するわけではない。なかには、顧客や取引先へのプレゼンテーションに参加する、社外の協力会社と共同で設計・デザイン業務を行う、といった理由で、移動を余儀なくされる人もいるだろう。その場合には、ノート型のワークステーションも選択肢の1つとなる。高性能ノートワークステーションを持っていれば、訪問先でデザイン変更の要望を受け、その場で修正して確認するといったことも可能になるからだ。その一例として挙げておきたいのが、Dell Precision 5490 モバイルワークステーションと、その周辺機器だ。

ノート型のワークステーションを選択すれば、卓越した処理能力を様々な場所で活用できる。在宅勤務が多い人にも適しているはずだ。

そして最後に、第4のペルソナ(業務遂行者/現場担当者)についてである。彼らにとって重要なのは、日々の業務を確実にこなすことと、目の前の業務に集中できることだ。そのためには、レスポンスと信頼性に優れ、気が散る原因となるノイズなどを低減できるPCが必要だ。ただし、限られた業務空間で使用することを考慮し、できるだけ小さなフォームファクタであることが望ましい。業務遂行者/現場担当者が働く場所は、デスクが整備されたオフィスだけではなく、店舗などのバックヤードのケースもあるからだ。もし、ある程度移動の機会が多かったり、より省スペースにしたい場合は、ノート型にすることも検討したい。

その一例として挙げておきたいのが、Dell OptiPlex マイクロ フォーム ファクターあるいはDell Latitude 5450 ノートPCと、その周辺機器である。

限られた業務空間でも使用しやすいように、できるだけ小さなフォームファクタのものが望ましい。
このほかにも、ディスプレイと一体化したDell Optiplex All-in-Oneや、Dell Latitude 5450 ノートPCという選択肢も考えられる

最適なPCの選択で企業と社員との「Win-Win関係」の強化を

ここまでペルソナ別に「最適なPCはどのようなものなのか」について、それぞれの業務特性を考慮しながら、その具体像を考えてきた。現在では企業経営者から現場作業者に至るまで、デジタル技術抜きに業務を遂行できない時代になっている。それぞれの業務で最適なPCを選択することは、業務の生産性を最適化する上で、不可欠な要素だといえる。

また業務生産性を高めることは、企業にとってだけではなく、社員にとっても大きなメリットにつながる。業務をストレスなく快適にこなせるようになる上、残業時間を減らすことでワークライフバランスを改善することも容易になるからだ。つまり、業務特性に最適なPCを選択することは、企業と社員との「Win-Winの関係」を強化することにつながるのである。

もし現在使っているPCに不満を持っている社員がいるのであれば、それぞれの業務特性の観点から、最適なPCを「選びなおす」ことをお勧めしたい。

日経BP社(https://techtarget.itmedia.co.jp)の許可により、2024年4月15日~ 2024年6月14日掲載の日経 xTECH Special を再構成したものです。
https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NXT/24/delltechnologies0415/

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