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2022年7月4日 21:00

【Coffee Break】vSAN 2ノードクラスター ナレッジリフレッシュ

coffeebreak.png

 

 

この投稿は「ちょっとしたストレージ関連技術のTIPSを思いついたら書いてみる」というコンセプトで、デル・テクノロジーズ社内のTeamsグループ/チームでゆる~く運営されている「Coffee Break」からの情報抜粋です。今回はプリセールスチームの技術に明るいマネージャーからの書き込みです。

 

 

 

サテライトノードの投入など、エッジ・ROBO環境向けソリューションを年々拡充していっているVxRailですが、そんな中でも以前から存在していたソリューションとして2ノードクラスター構成があるのはご存じのことかと思います。

 

通常VxRail(vSAN)の最小ノード数は3ノード(4ノード推奨)としておりますが、2ノードクラスターでは、その名前の通り2つのvSANノードでクラスターを構成することができてしまいます。通常構成に較べコンパクトに構成できますのでROBO環境向けには非常によいソリューションではありますが、一方で、仮想マシンの可用性・保護レベルの観点やvCenterやWitness(*)用に別途ESXiホストが必要などの制約や難点があることも事実のため、導入まで至っている案件はそれほど多くないのが正直なところです。

(*) Witness: ESXiホスト間のネットワーク分断が発生した際に、どちらのホストのデータを正とするかを判断するためのタイブレーカー/クォーラム的な役割のコンポーネント

 

ただ、皆様、以下のようなアップデートをご存じでしょうか?

お話をしている中で、VxRailが2ノードクラスターに対応した当初(VxRail 4.7.100)のころの理解のままの方が意外と多いことに気付かされました。

  • 対応VxRailモデル: 対応当初は限られたモデルしか対応していませんでしたが、現在は14G、15Gモデル全てに対応しています。
  • ノード間接続: 以前はノード間をスイッチなしで直接つなぐ「ダイレクト接続」しかサポートされていませんでしたが、現在はスイッチ接続構成がOKです。
  • 拡張性: 以前はノード拡張不可でしたが、VxRail 7.0.130リリースより、ノード拡張は可能になってます。

簡単ですが、それぞれのノード構成における比較表です。

 
2ノード構成
3ノード構成
4ノード以上構成
サポート開始
バージョン
  • VxRail 4.7.100
  • VxRail 4.0.000
  • VxRail 3.0
ノード構成
  • vSANノード x2
  • 全ての14G, 15Gモデル
  • vSANノード x3
  • 全てのVxRail モデル
  • vSANノード x4以上
  • 全てのVxRailモデル
ノード間
ネットワーク構成
  • ダイレクト接続, またはスイッチ接続
    ※スイッチ接続構成はVxRail 4.7.410~
  • スイッチ接続
  • スイッチ接続
vCenter,Witnessの配置
  • vCenter: vSANクラスタ外に構成
  • Witness: vSANノード外に構成
  • vCenter: vSANクラスタ内/外とも構成可
  • Witness: vSANノード内に構成
  • vCenter: vSANクラスタ内/外とも構成可
  • Witness: vSANノード内に構成
ノード拡張性
  • ノード追加可
    ※ VxRail 7.0.130~
  • ノード追加可
  • ノード追加可
対応 耐障害性方式
  • FTT=1/Mirrorのみ構成可
  • FTT=1/Mirrorのみ構成可
  • FTT=1~3/Mirror
  • FTT=1~2/Erasure Coding(RAID5/6)
ノード障害発生時の
冗長性確保
  • 不可
    (ノード障害復旧後、冗長性復旧動作開始)
  • 不可
    (ノード障害復旧後、冗長性復旧動作開始)

  • (HAノードがクラスタ内に確保されている場合のみ)


ただ、それでも、2ノードクラスターの提案に及び腰になってなってしまう理由の1つに、仮想マシンの可用性・保護レベルがあると思います。

 

2ノードクラスターでは、仮想マシンの保護レベルはFTT=1(ミラー)になりますので、仮想マシンのオブジェクトは各ESXiホストにコピー配置されます。可用性確保のため同一ESXi上にミラーコピーが配置されることはありません (各ESXiホストがFault Domainを形成するため)。つまり、もし片方のESXiホストに障害が発生した場合、可用性を維持するためのリビルド先ノードがないため、可用性が失われている状況になります。この状況でさらにディスク障害などが発生してしまった場合は仮想マシンへのアクセスはできなくなってしまいます。

 

これに対し、最近(と言っても昨年秋ごろの話ですが)、可用性・データ保護の向上に関する大きなアップデートがありました。 vSAN 7.0 U3で追加された2ノードクラスター構成でのNested Fault Domain機能です 。

※ vSAN 7.0 U3 = VxRail 7.0.3xx

 

上述のようにESXiがFault Domainを形成するため、vSAN 7.0 U2までは同一Fault Domainにミラーコピーを配置することはできませんでした。

これが、vSAN 7.0 U3のNested Fault Domainでは、ESXi(Fault Domain)の中にさらにFault Domainを作れるようになりました。名前の通りNestedのFault Domainです。

Nested Fault Domainを形成するのはディスクグループになります。具体的には、1ホストに 3 ディスクグループを搭載する事で、ディスクグループ間でデータのミラーとWitnessを配置できるようになるため、ホスト障害が発生した際でも、残ったホストで稼働中の仮想マシンのデータはホスト内ディスクグループ間でミラーされていますので、さらなるディスク障害が発生した際にも耐えることができます。

 

< 以前(vSAN 7.0 U2まで)の2ノードクラスターでのデータ配置: ノード間でミラー >

JPCommunityMgr_0-1656994416426.jpeg

 

 

< vSAN 7.0 U3から可能となったデータ配置: ノード間でミラー&ノード内でもミラー >

JPCommunityMgr_1-1656994416430.jpeg
 

仮想マシンのデータが合計で4面ミラーされることになりますので構成に必要なドライブ数・容量が増えてしまうのは難点ですが、エッジ・ROBO 環境で高い可用性が求められる場合は非常に有効な保護構成オプションになるかと思います。

 

以上、リフレッシャーのための2ノードクラスターのアップデートでした。

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